岡山91cm鏡HBS装着時 望遠鏡指向可能範囲
May 24, 2000.
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岡山91cm望遠鏡+HBS 望遠鏡指向可能範囲
2000.5.24 秋田谷 洋
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岡山91cm望遠鏡にHBSを装着したとき、望遠鏡指向範囲を制限しうる
要因として、以下の項目が挙げられる。
・HBSケーブル 望遠鏡底面固定点〜フォークアーム固定点間長さ
-> 最南δに制限
・HBSケーブル フォークアーム固定点〜極軸背後梯子固定点間長さ
-> 最大H.A.に制限
・望遠鏡先端とドーム回転機構の接触
-> 高度に制限
・ドームスリット下端と望遠鏡視野の交差
-> 高度に制限
・装置全長(装置下端とフォークアームの接触)
-> 最北δに制限
・リミッター -> 各方向の駆動範囲に制限
これらを考慮して、δ 10°ごとにH.A.方向の望遠鏡指向範囲を調査した。
(2000.5.18 岡崎、川端、秋田谷)
結果は図1、表1である。
ここに示した指向範囲は、以下の要因によって決まっている。
注意すべき点を併せて述べる。
(1) 最北指向可能範囲 δ=+92°
HBS CCDカメラ下端が、+92°付近でフォークアームと接触する。
なお、δ〜+90°までなら装置下端とフォークアームの接触は無いが、
状況によりケーブルが装置とフォークアーム間にはさまる可能性が
あるので、δ> +75°の天体に望遠鏡を向ける場合は目視確認すべき。
(2) 最南指向可能範囲 δ=-42°
リミッターが作動し、これより南での観測は不可。
高度が低くなるので、(4)で述べる望遠鏡先端とドームスリット開閉機構の
接触に注意が必要。
(3) δ>= +50°におけるH.A.指向可能範囲
+50°を越える高緯度では、HBSケーブルのフォークアーム固定点〜極軸
背後梯子間のケーブル長によりH.A指向可能範囲が±7hまで制限される。
制限領域付近では、ケーブルが望遠鏡側面に張り付き、駆動部に巻き込ま
れる可能性がある。H.A.〜±5h以上では要目視確認。
(4) δ < +50°におけるH.A.指向可能範囲
望遠鏡先端は、高度15°以下で、ドームの位置によってはドームスリット
開閉機構と接触する。
そのため、+50°より低緯度においては、H.A方向の稼働範囲は、各赤緯に
おいて高度が15°となるH.Aまでとなる。
* なお、ドームスリット開閉機構の位置に注意すれば、リミッターが
* 作動する高度約10°までの指向は可能。ただし、この場合は細心の
*注意が必要。
なお、ここで望遠鏡指向可能範囲を示したが、短時間の調査であるため、
まだ思いがけない危険要因があるかもしれない。当分の間は、天体の方向に
関わらず、望遠鏡動作時はドーム内にてケーブルの安全や突出部と周囲との
接触を目視にて確認すべきである。
また、新たに装置のケーブルを配線する場合や、装置交換でケーブルを
再配置する場合には、ケーブルの固定点の位置には注意を要する。
以上。
表1 : 望遠鏡指向可能範囲数値表
-H.A. δ +H.A.
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92°
-7h00m 90° +7h00m
-7h00m 80° +7h00m
-7h00m 70° +7h00m ^ フォーク〜梯子間
-7h00m 60° +7h00m | ケーブル長による
-7h00m 50° +7h00m -
-6h40m 40° +6h40m | h > 15°
-6h00m 30° +6h00m v
-5h40m 20° +5h40m
-5h15m 10° +5h15m
-4h40m 0° +4h40m
-4h15m -10° +4h15m
-3h40m -20° +3h40m
-2h40m -30° +2h40m
-0h30m -40° +0h30m
-42°
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秋田谷 洋
(akitaya@astr.tohoku.ac.jp)