AndorCCDデータ整約について
2007 11/14 文責: 磯貝
HBSデータ整約ソフト hbsred は Ver.4 以上であれば従来の主力CCDカメラ(T5,S5)で
観測したデータだけでなくAndorCCDカメラについても整約が可能となっています。
AndorCCDデータに対するhbsredの最初の処理は以下の通りです。
1: hbsredの1番 hbsfconv で ????cal/hbsdefine.h を参照し、
CCDタイプがAndorであれば andorconv.cl を実行する。
2: andorconv では、
2.1: AndorCCDデータのオリジナルなファイル名の拡張子を
fit から fts に変更する
2.2: cryolist.dat を編集し、記載されているファイル名の拡張子を変更。
元のdatファイルは 別名「cryolist.org.dat」で保存。
を実行する。
すでに「cryolist.org.dat」という名前のファイルが存在していれば、
andorconvの実行がすでに行われていると判断し、何もしない。
3: hbsfconv の処理に戻る。これ以降は従来のデータ整約と同じ手順を踏む。
(fitsヘッダーの追加等は従来のデータと同じ処理コード「cryofits3」を使用)
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・FAQ:
○もう一度andorconvを実行したいのに実行されない。
解:
cryolist.org.datを消すか、これを cryolist.dat という名前に戻せば良い。
○観測データが signed 16-bit 形式になってしまっているのを unsigned 16-bit にしたい。
解:
AndorCCDでの観測では、ファイルを保存する際にデータ形式を間違えて
しまう場合がある。
「signed 16-bit」形式で保存した場合、以下のヘッダー2行が抜けている。
BZERO = 32768 / offset data range to that of unsigned short
BSCALE = 1 / default scaling factor
hbsredは 「unsigned 16-bit 形式」のfitsファイルしか対応していない
ので、これ以外の形式のfitsファイルでは正しく整約できない。
そこで、hbsredを実行する前に singed 16-bit 形式のデータファイルを
unsigned にする必要がある。
hbsredソフトパッケージには、データ形式変換スクリプトを用意している
のでこれを使うと便利。以下使用法。
1: irafを立ち上げ、hbsinit を実行。
2: 修正したいファイルのみをcryolist.datに記入し、
「andorconv」
を実行した後、andorhconvを実行。
cl> andorconv
cl> andorhconv
修正されたデータファイルは、*.fit形式で出力される。
(オリジナルのファイルは、*.fts になっている)
=> 標準出力に表示される日付は間違っているが問題ない。
3: そのままデータ整約を進めたい場合には、
3.1: オリジナルのファイル *.fts を別ディレクトリに退避
3.2: cryolist.org.dat を消去。
3.3: 正しい cryolist.dat を用意。
3.4: hbsred を最初から実行。
○観測データが unsigned 32-bit 形式になってしまっているのを unsigned 16-bit にしたい。
解:
AndorCCDでの観測では、正しいデータ形式での保存を選択したのに
観測中にデータ形式が変わってしまうことがたまにある。
(signed 16-bit形式のケースとは違い、こちらの場合はファイルサイズが
4MBと通常の倍になるので気づきやすい)
このデータ形式もhbsredは対応していないので、正しく整約が出来ないた
め、上のケースと同様、hbsredを実行する前にデータ形式の変換を行って
おく必要がある。
こちらのケースについても、hbsredソフトパッケージにスクリプトを用意
している。以下使用法。
1: irafを立ち上げ、hbsinit を実行。
2: 修正したいファイルのみをcryolist.datに記入し、
「andorconv」
を実行した後、cryofits5を実行。
cl> andorconv
cl> cryofits5
修正されたデータファイルは、*.fit形式で出力される。
(オリジナルのファイルは、*.fts になっている)
=> 標準出力に表示される日付は間違っているが問題ない。
3: そのままデータ整約を進めたい場合には、
3.1: オリジナルのファイル *.fts を別ディレクトリに退避
3.2: cryolist.org.dat を消去。
3.3: 正しい cryolist.dat を用意。
3.4: hbsred を最初から実行。
上の対処法は、「signed 16-bitの変換の対処」とほぼ同じで、違うのは
andorhconvの変わりにcryofits5を実行することだけ。