線スペクトル偏光分光装置 CCD開発・製作報告

* UH88観測時の装置効率

Mar. 19, 2002.


* 概要

線スペクトル偏光分光装置第1回UH88観測(2002.2-3)における、 長波長用回折格子とEEV CCDカメラの組合せによる装置効率(望遠鏡込み; 大気 減光補正)を測定した。
効率は、33次のピーク(〜5900Å)で、8%(但し偏光1成分)、 23次のピーク(〜8450Å) で〜0.5%であった。

* 効率測定

観測期中、測光標準星のスペクトルを取得した。
観測諸元は次表のとおり。

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        日時  2002.2.28 25:00-27:00 HST
        天体  HR3454 secz = 1.437
	                    1.619
	      HR4468 secz = 1.153
    スリット  大穴
   クロス     300 /mm  
ディスパーザ  7500Å blaze
    瞳絞り径  5.6 mm (光路遮蔽なし)
    積分時間  各 120 sec
        天気  Fair
  取得波長域  5700Å(m=34) - 8450Å(m=23)
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   (表1)観測諸元
  

上記天体の各次数について、AB等級のairmass依存性から大気吸収量 を求めた。
airmass-大気減光は以下(図1)の通りであった。
airmass-extinction curve
(図1)(extuh88.eps)

天体の絶対等級値は、Hamuy et al.(1992)を用いた。

これを基に、HR4468の偏光1成分の各次数スペクトルについて大気減光なしの カウント値スペクトルを導出し、減光なし、装置効率100%の場合に期待されるカウント値、
N[ADU/pixel] = 568/λ・10^(-mAB(λ)/2.5)・w・Texp・π(Dtel/2)^2・g
λ[μm]:観測波長
mAB(λ): AB等級
w[Å/pixel]: サンプリングレート(0.13-0.20 Å/pixel)
Texp [sec]: 積分時間(=120 sec)
D[cm]:望遠鏡直径(=220 cm)
g[ADU/e-] : CCD gain (=0.55 ADU/e-)
との比から効率を導出した。

* 装置効率

m=23〜34の各次数スペクトルにおける装置効率を(図2-7)に示した。
横軸は波長、縦軸は効率[%]である。 示した。
大気吸収線や天体の吸収線は除かず、天体のスペクトルをそのまま表示している。

各次数内では、スペクトル中心付近に効率のピークを持ち、 free spectral range両端に向かい、効率がピークの〜30%に減少している。

異なる次数間では、33次(〜5900Å)に効率のピークを持ち、長波長に向かって ほぼ単調減少を示す。

*
(図2) m=33-23の各次数における装置効率。偏光1成分について。 (eff0.eps)

*
(図3) m=33-30の各次数における装置効率。 (eff3330.eps)

*
(図4) m=0-28の各次数における装置効率。 (eff3028.eps)

*
(図5) m=27-25の各次数における装置効率。 (eff2725.eps)

*
(図6) m=25-23の各次数における装置効率。 (eff2523.eps)

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   m      λcenter[Å] 
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   23        8436    8120-8630
   24        8084    7810-8290
   25        7761    7550-7960
   26        7462    
   27        7186    7010-7370
   28        6929    6770-7120
   29        6690    6540-6890
   30        6468    6320-6650
   31        6259    6130-6450
   32        6063    5940-6230
   33        5880    5770-6040
   34        5706
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 (表2) 各次数の波長域。中心波長は以下式による計算値
λcenter = 1/N * 2sin(β)/cos(γ) / m N = 72 /mm、β=44°、γ=6° を使用

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post 秋田谷 洋 (akitaya@astr.tohoku.ac.jp)