Sep. 11, 2002.
次の報告『』
2002年9月の三鷹におけるハワイ発送準備の過程でCCDのreadout noiseが減少したことを受け、
異なるゲイン設定によるreadout noise値を測定した。
readout noiseは、ADコンバータ直前の積分器積分時間(∝ゲイン)の増加に伴い
減少し、最小でおよそ6e- rmsを達成した。
BIAS画像を一枚取得し、オーバースキャン領域20x300 pixelsの領域のカウントの標準偏差を求めた。
積分器の積分時間(τINTEG)を変更してゲインを0.14〜1.65 (ADU/e-)の10段階で測定を行った。
ゲイン値は、9/10に実施したshutterless photon transfer法に基づく実験で得た結果、
τINTEG=3200 nsで0.90 ADU/e- を用いて、gain = τINTEG / 3200 として決定した。
実験中、CCD素子は約155 K (CCD 直下コールドプレート位置)であった。
積分器積分時間(τINTEG)に対するreadout noiseをADU値、electron値双方で図1、図2に示した。
τINTEGの上昇に従い電子数換算のreadout noiseは減少する。
τINTEGが小さい領域ではreadout noiseが非常に大きく、およそτINTEGの-2乗に
比例するようにreadout noiseが減少し、τINTEGが大きい値ではreadout noiseの
変化は小さくなる。
τINTEG〜3000-4000 nsあたりで約6e- rms付近に収束している。
各積分器積分時間に対するreadout noiseのADU値。
各積分器積分時間に対するreadout noiseのelectron数換算値。
τINTEGを3000-4000 ns(gain〜1 ADU/e-前後)とすることで、readout noise 〜6 e- を達成した。
また、2002年3月のUH88観測では、τINTEG=1600 nsの設定を使用し、readout noiseは25-30 e-であった。今回の測定によると、同設定でreadout noiseは10e-となり、大幅な改善となった。
本CCDカメラのreadout noise数値目標値は5e- rmsであったため、これでほぼ目的を達したことになる。
6e- rmsのreadout noiseで使用するには、gainを前回観測から倍程度上げる必要がある。
この場合、利用出来るCCD wellが浅くなり、明天体標準星等の
観測の効率が悪くなるが、一方、研究目的天体の多くは暗天体であるため、
その程度のgain設定で観測することは十分現実的である。
gain設定はそれらのことを総合的に考慮して決定する必要がある。