アライメント日記

 
 アライメントに関して行った作業を日記形式にして、随時更新していきます。
思考錯誤しながら進めているので、全くといっていいいほどまとまった形に
なっていませんが、それでも記録として残しておけばどこかで役にたつかも
しれないので。




2月2日

 偏光子系のレンズおよび、ウォーラストンプリズムの取り付け。
 手順   1. 各セルの軸と平行が出ていることを確認。
        2. 第一レンズの取り付け。
	   第二レンズセル上に反射板を置いて、軸が出ていることを確認。
	3. 第二レンズの取り付け。
	   コリメータレンズセル上に反射板を置いて、軸が出ていることを確認。
        4. ウォーラストンプリズムの取り付け。
           取り付け後コリメータレンズセル上に反射板を置いて、分離光を見、
	   プリズムの軸の角度の調整(分離方向とスリット長方向が平行になる
	   ように)。
	5. コリメータレンズの取り付け

 取り付け後、レーザー光をスリットに照射。
 レンズ系 - 分散系を通った単色光がカメラレンズの結像面に結んでいることを
 目視によって確認。	   
		 


2月1日

 分光器スリット治具納入。
 装置に取り付くこと、光軸が出る事を確認。
 黒塗。
 


1月29日

 スリットの取り付け。
 レーザーを照射し、スリットを透過する光の強度を比較することによって、
 スリットステージの座標を再決定。新たな値は以下の通り。
    天体用スリット       ... +12168
    一対一対応用スリット ... + 3633

 本日、レンズ系の組み込みを全て行う予定だったが、科研工場に発注して
 いた分光器スリット治具がまだ出来ておらず、先送り。2/8の装置発送に
 向けて、時間的に少し厳しくなってきた。



1月28日

 理学部金工場に作成依頼していたグランテーラープリズム用セルの黒塗。
 手順は、1/18を参照。




写真1 GTプリズム用セル



1月26日

 1. 波長板回転機構の取り付け
    スリット面及び人工光源用45度ミラーと干渉しないことを確認(写真 1)。
    



写真1 波長板回転機構を取り付けたところ

    スリットと干渉は起こさないが、スリットとの隙間が2-3mm程度しか
    なく、回転機構を取り付け/取り外しの際にスリットを傷つけて
    しまう可能性がある。波長板回転機構を平行を保ったまま、回転機構を
    支えながら差入れ/抜き取りを可能にする治具を作成(写真2)。




写真2 波長板回転機構取り付け/取り外し用治具

 2. 人工光源導入用レンズおよび45度ミラーの軸合わせ
    HCTランプ穴にレーザー発振器を差し込んで行った。



1月25日

 分光器用スリットの方向が間違っていることが発覚。
 取り付け方向を90度まわすだけなので、それ用の治具を作れば対処可能。
 早急に取り付け用の治具の図面を描き、科研工場に製作を依頼。
 月曜日に納入予定。 
 


1月24日

 1. スリットステージを取り付け、秋田谷作成のモーターコントロール
    システムの動作確認。天体用スリット、一対一対応用スリット、
    スリットビュア用大穴、それぞれの位置に相当するおおよその
    パルス座標も測定した。最終決定は、スリット到着後に行う。
    詳細値は、こちら 
    
 2. 上記システムを改良し、HCTの点灯の制御もできるようにした(秋田谷)。
    動作確認。自作HCT点灯用回路(電源とスイッチ)の調子がおかしく、
    手間取ったが、最終的にはうまく動作した。回路の調子がおかしかった
    原因ははっきり分からなかったが、HCT電源回路のトランス部分の
    接触不良であった可能性がある。不動作回路を調整する段階で、
    当初HCTスイッチ回路ボックスに組み込んであったDC5V電源を取り外し、
    新たに秋田谷作成のパラレル電源ボックスから電源を引くことにした。
        



写真1 HCT点灯制御の動作確認の風景
    


1月23日

 1.エシェルの取り付け
 2.クロスディスパーザの取り付け

  エシェルとクロスを既にセルに収まっている鏡と交換。

  %メモ%
   エシェルの向き   ブランク側面に書いてある矢印が下面にくるように
                                                  手前を向くように
   クロスの向き    ブランク側面に書いてある矢印が裏面にくるように
                                                  下を向くように
                  						  


1月22日

 1. 検出器支え治具の取り付け穴の変更 M4 -> M5 へ (1/16参照)

 2. カメラレンズの取り付け
 分光器に近い側の螺2本が取り付けにくいことが原因で作業に3時間もがかかった。
 (一旦とりつけてしまえば、調整やとり外しは楽。)
 次回取り付けることがあるときの為に手順を記録しておく。
    0. カメラレンズのフィルター枠を取り外しておく。
    1. 円形枠の下部を定盤に取り付ける    
    2. 台座をカメラに取り付ける。このとき、台座とカメラの平行は出しておく。
       また螺をきつく締めていないと、とりつけの際に緩むことがあるので
       注意する(これが原因で何度もやりなおした)。
    3. 台座の定盤への取り付け(これがたいへん)
         a. 分光器の下側の螺2本を手で軽くとめる。
	 b. 台座を振って、上側の螺穴と台座のザグリ穴を合わせる。
	 c. 上側(エシェル側)の2つの螺のうち、クロスに近い方の螺をとり
	    つける。手で取り付けることはほとんど不可能なので、六角螺を
	    ドライバーに噛ませ、そのまま螺穴に差し込む。螺は最後まで
	    締めずに、ある程度のところで止める。(ここが一番難しい)
	 d. カメラレンズを検出器方向へスライドする。
	    (eで螺を差し込みやすくするため)
	 e. 上側(エシェル側)の螺の残った検出器に近い方の螺を、cと同じ
	    要領でとめる。       
         f. カメラレンズを最適位置まで移動。
	 g. カメラの平行を確認して全ての螺を締める。
    4. カメラレンズの台座取り付け具と一体化しているレンズバンドを緩め、
       フォーカスの表示が見えるようにレンズを回転させる。	 
    5. 円形枠の上部を取り付け。このときカメラの平行がでているかどうか
       をきちんと確認する。
    6. 最後にガタがないかを確認する。
       (ガタがある場合は、台座とカメラ間の螺(2の作業)が緩くなっている
       可能性がある。)   
       	 



写真1 取り付けられたカメラレンズ
	 


1月19日

 1. 45度ミラーの取り付けを調整。
 装置を立てた状態で、定盤に既に取り付いたミラーをセルにミラーを挟み
 込むのは、作業途中にミラーが滑り落ちてしまう危険があるので、ミラー
 を既に挟み込んだセルを装置に取り付けるという方法を取った。
 セルを定盤に取り付ける際には、ミラーを傷つけてしまうおそれがあるので、
 ミラーには写真1のようにカバーをつけた。




写真1 ミラーセルにカバーをとりつけたところ

 角度の調整には、レーザーを使用。
 較正系の下穴に半透鏡を置き、上穴からレーザーを照射。
 既に水平が出ているコリメータレンズセルの面での反射光と透過光が重なる
 ようにして入射光が光軸と正確に平行になるように調整。
 45度ミラーによって反射されたレーザー光が定盤と分光器の下板に対して
 正確に平行になるようにミラーセルの位置を調整。
 平行度の確認には写真2のような治具を用いた。
 



写真1 平行度の確認に用いた治具。左側の白い部分に0.5mm程度の穴があけて
      あり、平行度が達成されている場合はレーザー光が透過するように
      なっている。

      
 2. スリットビュア用の45度ミラーの取り付けと調整
 入射レーザーの軸出しは1と同じ方法。
 スリットビュアレンズセルに軸調整用プレートを挟み込んで実施。
 軸合わせに際しては問題なし。

 ミラーセルのミラーティルト調整用螺の頭が、フィルタステージと微妙に
 干渉することが発覚。旋盤で螺の頭を少し削ることに(写真3)。




写真3  スリットビュア用のミラーセル。上側につき出ている部分が調整螺。
       右側の調整螺の頭一部が削ってある。

       
 3. スリットビュア用の45度ミラー稼働レールにストッパーを装着(写真4)。




写真4  レールに取り付けたストッパー。ミスミ製、セットカラー
       (セパレートタイプ)。
 
       


1月18日

 再製作してもらった第一レンズセルの黒塗。
 2パーツから成り、セル本体は真鍮、抑えリングはアルミ製である。
 手順:  1. 脱脂 ... アルコールで拭いた
        2. 表面処理 ... トピカ製の常温黒塗材(ブラッキー)を用いた。
	          真鍮のセル本体  水で6倍に薄めたブラッキーC液に5分浸す。
		                  表面にスラッジができて全体が黒色に。
				  引き上げ後、水洗してスラッジを落す。
				  鈍い金色のような表面になった(写真1)。
	          抑えリング      水で4倍に薄めたブラッキーA液に5分浸す。
                                  水洗後、ブラッキーB液(原液)に2分浸す。
		                  表面は青光するような色に(写真1)。
				  スラッジはできなかった。引き上げ後洗。
	3. 黒塗  アサヒペンの「スエード調スプレー・マッドブラック」
	         を使用。表面処理した金物が乾燥後、数度に分けて
		 スプレーを吹き付ける。螺山部分には、テープでマスクを
		 して、螺山がスプレーで潰れないように配慮。 			  



写真1 表面処理後。左がリング、右が本体。



写真2 黒塗終了。この後、さらに一晩乾かす。

 ある程度スプレーが乾いたあと、マスクをとって螺山にスプレーが侵入
 していないのを確認した。
 



1月16日

 カメラ取り付け治具が完成。
 当初、HBS用のTI-CCDが取り付くように設計してあったが、
 事情によりすぐにはそのCCDが使えなくなり、 急拠手元にある
 ビットランCCDが取り付くように秋田谷氏が改造。
 
 取り付け確認。 M4螺頭が治具回転用レールをすり抜けてしまう。
 ひとまず、ワッシャを使ってレールをすりねけないようにして対処。
 治具側の螺穴をM4=>M5orM6に変更することにする。
 水平が出ていることも確認。




写真1 取り付け治具製作者、秋田谷君




写真2 ビットランCCDを取り付けたところ。HBS用TI-CCDも取り付け可能。

 コンパリソンランプ部(2ケ)、スリットビュア部(1ケ)のレンズを
 装置内に組み込む。第一レンズ、第二レンズはスリットの光軸を
 確認した後に組み込む予定。スリットは1/23に納入の予定。
 その間は、分光器への素子組み込み作業をすることにする。



12月27日

 ミラーが納入。
   ・45度ミラー
   ・光軸調整用ミラー 2ケ (それぞれエシェルとクロスのホルダーに挿入)

 45度ミラーがセルに収まらなかった。
 エシェルからの光路を確保するために、一辺が裸の構造になってるが、
 その部分のストッパーが邪魔になった。裏面板の螺穴を長穴にすることで対処。

 エシェルホルダーにエシェルを一度収めると、取り出すことが非常に困難
 なことが発覚。ステージとアームを結びつけている4つの螺のうち一つを
 外す際に、どんなに気をつけて作業を行ってもエシェル面に傷をつけるの
 を免れないかもしれない。結局その螺をとり外した。ホルダーとアームが
 3点のみで固定されていることになるがやむを得ないか。
 面の浮き上がりはない事は確認した。  
   
 ホロカソードランプ用の拡散板を装置に取り付けた。
 固定用リング長が思いの他短く、ホロカソードランプ取り付け穴から
 指をいっぱいに伸ばしてやっと取り付けた。取り外すことがあった場合は
 大変かもしれない。
   


12月26日

 納入された光軸合わせ治具を用いて光軸調整。
 第一レンズのレンズ筒の軸がガタの範囲では調整不可能だったので、
 旋盤で肉厚0.1mmだけ薄くけずりとり、ガタを作って軸が出るようにした。
 残りは、ガタの範囲で光軸を出す事ができた(公差0.1-0.2mm以内)。
 スリット面からコリメータレンズまでの治具のアライメントが終了した
 ことになる。あとはレンズを入れるだけ。

 分光器のアライメントを行いたいが、鏡がまだ納入されていない。

 補強用の梁(材質:SUS304)が納入(写真1)。



写真1 補強用梁。偏光子系と較正系の間にも同じものを渡す。



12月21日

 光軸調整用治具が納入(写真1)。
 まだ戻ってきていない第二レンズセル以外はきちんと収まることを確認。
 穴の精度は0.445±0.03mm、外形公差は0.06mm、穴の中心ずれは0.03mmと
 充分な精度で仕上った。




写真1 センタリング用治具。左から、φ25、φ30、φ31.5、φ82。

 第二レンズセルが戻り次第、アライメント作業を再開する予定。



12月15日

 作り直しを依頼していた第一レンズセルが納入。
 今度はレンズがきちんと収まることを確認。

 光軸調整治具の製作を科研工場にお願いした。
 精度が問題となるので、製作方法などについて工場の方と話し合った。
 穴の大きさ(0.5-0+0.1mmm)と中心出し(外形に対して0.1mm以下のずれ)
 の精度を出すために、放電加工で行ってもらうことにした。
 材質はステン。これは放電加工のし易さから選んだもの。
 アルミや銅は粘りがあって放電加工には向いてないらしい。

 ホロカソードランプ収納筒をランプが取り付けられるように改造(写真1)。
 コネクタ部だけでは支えられず、姿勢差で筒内部でランプが若干
 動いていた。筒の内壁にスポンジを貼りつけ、緩くではあるが
 ランプを締めつけて、ガタが出ないようにした。




写真1 ランプ収納筒にホロカソードランプを取り付けたところ。



12月14日

 第一レンズセルが納入の予定だったが、製作ミスがあったようで、
 作り直し。
 第二レンズセルもレンズが収まらないことが発覚。 業者に送り返した。

 アライメント作業が遅れそうなので、きちんとした光軸調整治具を
 作ることにした (図面)。紙での調整治具は、かなり慎重に作ったが
 やはり精度に多少の心配があるので。

 光軸調整は、セルが戻ってくるまでしばらくお休みしなければならない。
 明日からは、ひとまずホロカソードの調整を行うことにする。
 


12月12日
 
 センター確認用治具(12月11日)を用いて、光軸のずれ具合を調査。
 確認位置   較正系穴
            第一レンズセル
            虹彩絞り
	    第二レンズセル
	    分光器スリット  
            コリメータセル
    *このうち第一レンズセルは径が小さく、レンズが収まらない
      ことが確認された。再工作を依頼(12月14日納入予定)。

 較正系穴の中心に対して中心が揃っていたのは、コリメータセルのみ。
 それに対し、虹彩絞り、第二レンズセル、分光器スリットはシステマ
 チックに同じ方向にずれていた。      
 虹彩絞り位置は構造上(筐体の両壁に挟間っている)動かすことが
 できないので、虹彩絞り位置を基準として光軸合わせをすることに。

 自由に光軸を選べるように、レーザー入射用治具のはめ込み部分を
 削ってガタを作った。 
 
 0.3-0.5mmの精度では虹彩絞り -- 第二レンズセル -- 分光器スリット
 のセンターが出ていることを確認。ガタを利用して0.2mmの精度に落す
 ことも可能そうである。コリメータセルは、0.5-0.8mmほどセンターが
 ずれている。レンズとセルのガタで補正できそうか調べたが、無理だった。
 ステージ取り付けのガタでどの程度まで、追いこめるかを明日調査する。
   


12月11日

 ジャッキをもう一つ購入して、装置の二軸(x-y軸)の水平出し(写真1,2)。
 精度は、0.1度以下。 






写真1,2 架台にジャッキを通し、水平出し
写真3 少なくとも0.1度の精度で水平が出せている 12月9日に改造した、第二レンズセルを取り付け、水平がでていることを確認。 次にセンターを出す為、第一レンズセル、第二レンズセル、分光器スリット、 コリメータレンズセルに円形の紙の中心に0.1mm程度の穴を空けたものを工作 し、それらに取り付けた。筐体に取り付け、レーザーを入射し、センターが とれているか、ずれているとするとどのくらいかを測定する。 写真4 センター出しのための治具を工作(白い円形の部分。左から第一レンズセル、 第二レンズセル、分光器スリット、コリメータセル)


12月9日

 第二レンズセル台(ステージとセルを繋いでいる板)を改造。
 第二レンズセルの傾きは、セル台のタップ穴が一方に偏っている
 ことによって生じているようなので(写真1)。




写真1 セル台(左)とステージ(右):セル台を留める穴は、写真の手前側しかなく、
                              奥はフリーの状態で、奥面が多少(0.1mm程度)
	                      浮き上がっていた。			  
 
 セルを留める力が板全面に均等になるように、M4のタップを二つ
 切った(写真2)。タップ穴の位置精度がそのまま第二レンズの位置
 精度に効いてくるので、作業はかなり慎重に行った。




写真2 セル台(ステージ面から見て):上面の左右角に見えるのが、今回開けたタップ穴。
 
 結果、タップ穴は充分な精度で切ることができ(0.05mm以下)、当初
 の目的であった板-セル間の隙間もなくすことに成功。
 これを筐体にとりつけて、再び平行度を測定する。


12月8日

 1. 架台の水平出し。
    自動車用のジャッキを用いた。
    完全に水平を出すにはもう一つ必要。
    架台の水平を出せば、筐体の上面フランジの水平も0.1度程度の精度
    で出せそうである。
    
 2. 南北面を完全に水平にして、内部治具との平行度を測定した。
    測定したのは以下の場所。
        較正系下面           0.1度以下
	第一レンズセル下面   0.1度以下
	スリットステージ     0.2度程度
	シャッターステージ   0.1度以下
	第二レンズセル       0.3度程度
	コリメータレンズセル 0.2度程度

    公差は1度なので、どれも合格である。しかし、最も像の劣化に影響
    のある第二レンズとコリメータレンズの平行性が悪いのが気になる。
    第二レンズセルは、セルを取り付けている螺が偏っていることが傾き
    の原因のよう。螺の無い部分がよくみると浮き上がっている。浮き
    上がっている部分にも螺をとりつけることにする。コリメータセル
    はキリ穴の遊びでどれくらいセルが傾き得るかを確認してから。