祝 ついにファーストライト!!

(2001年3月18日 in 国立天文台三鷹 赤外シミュレータ)






東京都三鷹市の国立天文台内にある赤外シミュレータ(口径1.5m)にて、
ファーストライトを迎えました。記念すべきファーストライト天体に
選ばれたのは、こと座のβ星です。輝線を有する早期型星で、輝線は
星周物質から放射されていると考えられています。さらに、天体光は
不均一に分布する星周物質の散乱によって偏光していることが確認
されており、我々装置のファーストライト天体には恰好であったと
思います。

撮影波長域は、Hα付近を選択しました。3つの次数についてのそれぞれ
常光線と異常光線が写っているので、合計6本のスペクトルが写っています。
真ん中の二本のスペクトル中の左側、明るく写っているのがHα輝線です。
ファーストライト画像 (こと座β星): 次数m=28,29,30(波長域 630-690nm)のスペクトルが写っている。 画面の左上端が最も波長が短く(630nm)、右下端が最も波長が長い(690nm)。 各次数でスペクトルが二本見えるのは、常光線と異常光線に対応。 真ん中のスペクトル左側に見える輝線はHα、下のスペクトルの右側に 見えるのはO2の大気吸収帯である。 上の輝線を各次数ごとに一次元化したものが下の図です。 フラット画像で割っていないので、エシェル型回折格子の波長効率特性 が補正されておらず、ブレーズファンクションがスペクトルにそのまま 現れています。それでも、Hαについては、短波長側の小さなピーク(肩) が輝線プロファイルとして検出できています。また、大気吸収帯の細かな 構造も確認できます。この得られたスペクトルから、さらに最終目的で ある偏光のプロファイルを検出する作業を今後進めていきます。 m=30の一次元スペクトル:
m=29の一次元スペクトル:
m=28の一次元スペクトル: 各次数の長波長側(右側)のなだらかなピークが各次数に置ける 効率の最大となる波長帯である。データ処理 (秋田谷 洋)