新波長板の透過率/リップルの測定
(2001年8月13日)
(株)応用光電研究室に製作を依頼していた無色波長板が納入された。
本波長板は、透過率を上げ、リップルを減少させるために、ARコート
を施した白板(BK7)で挟み込んだ構造になっている。
今回、透過率(リップル)を測定したのでその結果を報告する。
測定条件:
測定器 日本分光 V-570
バンド幅(スリット幅) 0.1nm
データ取り込み間隔 0.025nm
走査速度 20nm/min
* 測定は3度行い、それらの平均値を結果とした。
結果:
(a) 透過率特性
400nm-700nmの範囲の透過率は、大きな波長依存性も見られず、平均で94-95%
程度であった。ARコートなしの波長板の透過率が、90%程度であったこと
思い出すと、ARコートの効果は十分に効いていることが分かる。ただし、
430nm以下では波長が短くなるにつれて透過率は急激に減少し、400nm付近で
約90%となる。
(b) リップル特性
500nm付近と600nm付近で、もっともリップルの振幅が大きかった領域の
透過率波長依存性を示す。500nm付近で約1%(peak-to-peak)、600nm付近で
約0.6%程度のリップルが以前存在している。現在使用している波長板
のリップルの振幅は、最大で3-4%(peak-to-peak)あったので、多少は
減衰している。
500nm付近の透過率(T)
600nm付近の透過率(T)
結論: 今回新たに納入された波長板は、透過率は向上し、リップルも軽減
している。すなわち、現在使用しているものに比較して、S/Nの向上と
リップルによるシステマチックエラーの軽減による測定精度の改善
が見込まれる。実際に、新たな波長板を用いた試験観測を実施し、
実際の測定データの向上にどれくらい反映されているかを確かめる
ことが次のステップである。