◎ 装置たわみ量およびガタの調査2
要旨: 秋田谷CCDを取り付けた状態で、装置の自重によるたわみおよび
ガタの量を測定。
実験方法: HCTランプで照らした較正用スリットの像を撮る。
検出器上での像の装置の姿勢に応じたずれ量を測定し、
たわみ、ずれの有無、発生箇所を推定する。
望遠鏡(赤外シミュレータ)エレベーションは30度。
インストルメンタルローテータは、0度、±45度、±90度。
結果:
測定結果を図に示す。
Region1は、検出器のほぼ中心の像、Region2は検出器の向かって
左下端の像ある。
・全体的に前回の測定よりたわみの量が大きい。
=> 前回と検出器を変えた効果?
エレキボックスが装置に載った効果?
光学セルを変えた効果?
・ローテタアングルに対するたわみの傾向も異なっている。
特にローテタアングル+領域で、前回はどちらかというと
−方向に像が移動したのだが今回は+方向に移動している。
・ローテタの回転の行き帰り(0度→45度→90度→45度→0度)
でたわみ量は再現している。
=> クロスディスパーザセル交換の効果が得られ、
ガタがなくなった。
・Region1とRegion2でそれほど像の移動量/傾向に変化はない。
=> ねじれの効果はほとんどない。
考察:
像の移動に起因するたわみの影響を、簡単のためx軸方向のものと
y軸方向のものに分ける。
x軸方向: ローテタアングル0度を中心として、正負両方の値をとる。
また、±90度の時にδxの絶対値は最大になる。
装置の爪先-踵方向に加速度が生じたときに、たわみやすい
場所が原因の像の移動であると考えられる。
その候補は。。。
偏光系たわみ − x方向
偏光子系のたわみのみが、x方向の像の移動に寄与する。
y軸方向: ローテタアングル0度を中心として、正の値のみをとる。
±90度の時にδyの絶対値は最大になる。
これは、x軸の場合とは異なり、±90度のときにたわみに
対して比較的安定で、0度のときにたわみにがきつくなる
構造の部分が原因と考えられる。
その候補は。。。
クロスディスパーザ +y方向
エシェル −y方向
45度ミラー +y方向
チップ支柱 +y方向
検出器台 +y方向
分光器系のねじれ ±y方向
偏光器のたわみ +y方向
すべて像の移動方向も一致する。ただし、エシェルのたわみは
ほとんど考えられないことを、セルに意図的に力を加える実験
によって確かめた。チップ支柱と検出器台の効果が新たに生じた
と仮定すると、像の移動の傾向が前回と異なったことに矛盾しない。
図中の青線は、
検出器および検出器台の寄与... 最大1.4 slit-width (115um相当)
偏光器のたわみによる寄与... 最大0.5 slit-width (28.5um相当)
45度ミラーおよびクロスのたわみによる寄与... 最大0.35 slit-width (8um相当)
としたときの、ローテータアングルに対する点像の軌跡である。
実験結果を非常によく再現しているといえる。
結論:
現在のところ像の移動に大きく関与しているのは、a.検出器支柱および
検出器台、b.偏光器のたわみ、c.45度ミラーもしくはクロスディスパーザ
のたわみ、であると考えられる。検出器関連の影響が最も大きく、加えて
ずれの方向が分散方向に一致しており、特に問題になると考えられるので、
まずはすでに予定にもあった支柱の交換を行う。その結果をみて、他の
効果の軽減についても検討したい。