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2.4.1 測光領域の選択

ある積分時間$t_{\rm E}$におけるシグナル値 $S_{\rm ADU} (t_{\rm E})$を、高い測光精 度で知るには、単位時間あたりの照射光量が均一とみなせる、 ピクセル数の充分多い領域を選び、その中でシグナル値を平均化するのが良い。 しかし、この実験で得られる画像はエシェル形式の複雑なスペクトル像であるため、 輝度の平坦な部分が狭く、 画像内で隣接する領域を選択する方法では、充分な数のピクセルが得られない (光量のばらつきが1%以内としたときに、せいぜい several $\times $ several pixels程度)。

そのため、以下のような方法にて、輝度が一様なピクセル群を抽出し、シグナル 値を測定した。

  1. 光量の安定性の確認の為に取得した、8枚の20秒積分のXe光スペクトル像を平均 化し、各単一ピクセルごとのシグナル値誤差の小さい画像を得る
  2. 20積分画像内における、適当なシグナル値範囲($S-\Delta S/2$$S+\Delta S/2$)を決める。 $\Delta S / S$ が、必要な測光誤差(例えば$0.01 \sim 1\% $ )になるように設定する。
  3. 平均化した20秒積分Xe光画像の全ピクセルから、シグナル値が上記範囲にあるピクセ ルを抽出し、そのピクセル群の位置を示したマスク画像を作成する。 このマスクで選ばれたピクセルは、たとえ隣接しておらず、また、シグナル値 の空間変化の激しい複雑なスペクトル部分に埋もれていたとしても、 画像形状が安定している限りは、常にお互いに均一な光量 (毎秒あたり、約 $(S \pm \Delta S/2) / 20$ ADU 相当) が照射されている部分と見倣せる。
  4. 各積分時間ごとのXe光画像について、マスクで選択されたピクセル 内での平均値、もしくは中間値等の統計量を得て、積分時間 対 シグナ ル値の情報を得る。

この方法により、 $\Delta S/S\sim 1 \%$とした場合でも、数千から1万数千 pixelsのサンプルが得られ、低照度の場合でも十分な測光精度が得られた。


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Hiroshi AKITAYA 平成15年11月20日