線スペクトル偏光分光装置 CCD開発・製作報告

* Engineering Grade CCD Chip の初駆動・画像取得

June 6, 2001.

前回の報告『M-Front-MessiaIV廻りの作業経過6』
次の報告『16chパラレル入出力回路の設計・製作』


* 概要

CCD素子 (Engeneering Grade)を冷却・温度制御しての駆動に成功した。 ノイズ(冷凍器起因など)が大きいことが分ったので、以後、ノイズ軽減の 対策を行う事とする。

* 準備

CCD dewar内にengineering grade CCD chipを 設置し、真空引き後、冷凍器で素子冷却を行った。
真空引きは、総計17時間程度で、真空ポンプ入口において6.3E-4 Torrの圧力ま で到達。(久しぶりの真空引きだったので、最初はなかなか真空が引けなかった。) 以後、冷凍器を動作させ、3時間程でCCD chipを163Kまで冷却し、温度制御器で CCD chipを一定温度に維持した。
chip温度が163Kに達した後、真空ポンプを停止しても、温度上昇は生じなかった。


冷却の様子(赤:CCD chip 、緑:吸着材ケース)

* 画像取得

CCD素子温度 163K程度で、BIAS画像を取得した。 我々のchipについて以下の特徴があることが分った。

  1. 「冷凍器停止時」(画像:図2)
  2. 「冷凍器動作時」(画像:図6)

図2: 冷凍器停止時のBIAS画像

図3: 明帯の断面

図4: x方向の周期的パターン(パルス状)

図5: x方向の周期的パターン(高周波)

図6: 冷凍器動作時のBIAS画像

図7: 冷凍器動作時のノイズ

* ノイズの評価

明帯を除く領域([101:800,101:800])で、BIAS複数画像間で カウントの標準偏差(σ)を導出。CCD温度は160-175K。

             ----------------------------------------------------
              冷凍器 冷却ファン 温度コントローラー    σ [ADU]
             ----------------------------------------------------
                ○       ○         ○                2804.5
                ×       ○         ×                114.3
                ×       ×         ○                105.2
                ×       ×         ×                112.6
		cf. CCD接続なし(SIGNAL-GNDショート)     9.5
             ----------------------------------------------------
以上より、
  1. 冷凍器ノイズが大きい
    冷凍器の電器的絶縁を試みる
  2. 冷凍器停止時のノイズも大きい
    回路系から見積もられる変換係数 〜 6.0 [e-/ADU] (gain〜0.17 ADU/e-)
    = 600e- の noise !?
ということがいえる。 変換係数が上記概算値で正しいかの確認が必要。 ノイズ源の追究、ノイズ対策が次の大きな課題となった。

* 光の検出

微光を照射して60秒積分で、CCDカバーの隅から洩れ入った光を検出した(図8)。
ちゃんと光は検出しているようである。
図8: 光を照射した画像(60s、176K)

[LIPS CCD top page]


post 秋田谷 洋 (akitaya@astr.tohoku.ac.jp)