August 2, 2001.
光を照射した画像のカウント-分散関係を用いて、gainの測定を行った。
冷凍器を停止した状態でのgainは、5.9 ADU/electronsとなり、回路設計から
予測される値とよく一致していた。
一方、readout noiseは211.5 ADUであり、上記gainを適用すると、約42
electronsとなる。
この値はかなり大きなものであるため、冷凍器絶縁によるノイズと軽減とは
別に、ノイズ対策が必要である。
7/26、CCD素子を温度173Kに冷却維持し、冷凍器を停止した直後にbias画像、光
を照射した画像をそれぞれ複数枚取得した。使用した画像は、bias3枚、LED照射
画像3枚。その間約10分以下で、温度上昇はは173.6-175.5Kの程度であった。
光源には、LEDを定電圧電源に接続して用いた。CCDにはシャッターがないため、読みだし中にも光が照射されるこ
とになるが、それを逆に利用して素子内でのカウント値のなだらかな分布を
作成した。
図1:今回の冷却の様子。冷却開始は7/26 13:08。今回用いる画像を取得する際の
冷却停止はx軸上700minあたりから。緑:コールドプレート(CCD素子
直近)、赤:吸着材ケース
bias画像3枚から中間値画像、標準偏差画像を作成した。 また、LED画像3枚について、中間値画像から上記bias中間値画像 をひいたもの、および、分散画像を作成した。
図2:LED光照射画像。読みだし中にもLED光が照射されているので、画面下(読みだし
口方向)から上に向かってなだらかな強度分布ができている。
図3:LED光照射画像のY方向カウント値分布の例。
画像中の幾つかの領域について、
bias引き後のLED光画像のカウント値(S)、LED光画像の分散(σ^2)を
求め、関係式
σ^2 = g * S + σro^2
をfittingすると、
図4:カウント値-分散関係。
ここで求まったgain 値は、回路系から予測したgain値 6 [ADU/e-]と
良く一致している。一方、readout noiseとしては、40 [e-]と実用上
問題となる大きさである。
冷凍器絶縁とは別のノイズ対策が必要である。
図2に示したように、画像にはx〜850付近のバッドカラムとその右側(x大)方向へ
のカウントの落ち込み〜なだらかな上昇が見られる。x方向断面図を図5に示した。
同領域について、readout noiseのx方向分布を図6に示した。図6によると、
readout noiseは狭いバッドカラムの領域以外では、画像内でほぼ一定の値を示
している。即ち、バッドカラム右からなだらかに続くカウント値パターンは、
画像間で安定しており、bias画像差引で影響を消すことができる。
前回 とバッドカラム周辺のカウント値分布がさかさまになっているのはなぜか?
図5:LED照射画像のx方向分布。
図6:readoutノイズのx方向分布。