岡山91cm 望遠鏡
HBS 観測マニュアル 簡易版

東北大・理・天文 秋田谷 洋

最終改訂: 2003.4.8
HBS標準星高度グラフ描画AltCurveへのリンク追加
since 2000.11.22


HBS at OAO91cm
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■ まえがき

本マニュアルは、HBSを岡山91cm望遠鏡に取り付けた際の観測の流れについて 備忘録程度にまとめたものです。望遠鏡、装置各部の機器、ソフトの操作法に付いて 詳細を述べたものではありません。それぞれについては、(古くなったものもありますが)詳しいマニュアルが別にありますので、必ずそちらを参照して下さい。(「詳しい情報の所在」参照)

■ その日の始めに

  1. CCD制御パソコン(hbs_ccd)のハードディスク(c:ドライブ)の空きが十分あるか確認する。 通常200MB程度あれば良い。 足りないときは、c:\images\ のうち古い日付の観測データを消去する。
  2. 観測データ保存用のディレクトリをc:\images\ に作製する。
    (例) 2000年11月20日の場合
    001120a 前半夜グループ用
    001120b後半夜グループ用
    001120cl 較正観測用。SP、UP、GTのデータは、前後半に関わらず このディレクトリに保存する
    001120sk 昼スカイフラット用
  3. 観測天体の星図、観測天体およびガイド星の座標の情報 (オートガイドに必須)を準備する。

■ 観測準備

  1. 91cm望遠鏡制御架の電源を入れる。 (「MAIN POWER」「TELESCOPE POWER」「DOME POWER」の3つ)
  2. ドームシャッターを開ける。(※:湿度が90%を越えていないこと)
  3. 主鏡カバーを開ける(2000/11現在手動)
  4. 必要に応じてCCDカメラシャッター保温用ヒーターの電源を入れる。 (観測室の説明書参照)
  5. 同架望遠鏡のカバーを開け、視野確認用CCDカメラ BITRAN(同架望遠鏡に付属)の電源を入れる。BITRAN制御用パソコン(komagawa)のBITRAN制御ソフトを起動する。
  6. OOPS制御用ワークステーション bicchu で、望遠鏡制御ソフトを起動する。
  7. ドーム内監視モニターの電源を入れ、モニターカメラ電源をONにする。
ヒータースイッチ
望遠鏡東側床のCCDカメラシャッター保温ヒーター出力スイッチ、変圧器。
ヒーター温度調節器
CCDカメラシャッター保温ヒーター温度コントローラー。
ヒーターの使用方法については観測室の説明書参照のこと。
同架望遠鏡
同架望遠鏡と視野確認用CCDカメラBITRAN。
BITRAN CCD camera
BITRAN CCDカメラヘッド。観測開始時、終了時に、ヘッドの電源スイッチを on/offすること。
CCDカメラヘッドを動かしてしまうと BITRAN CCD視野中心とHBS視野中心の位置がずれてしまうので注意。

■ 観測の流れ

★ 天体導入

  1. 望遠鏡制御ソフトで、予め作成した座標リストから目的天体を選択し、天体方向に望遠鏡を向ける。 ドーム駆動は「auto dome」で良い。望遠鏡動作時にはケーブルの巻き込みや装置の接触が ないことを目視確認する。
  2. 視野確認用CCDカメラ BITRANの画像取得(フォーカスモード、連続撮影)を開始
  3. HBSのguide mirror:INとし、スリットビュアー IIカメラの 電源を入れゲインを適当に調整する。
    (注:ドーム内の消灯を確認すること!明光をあてるとIIカメラが損傷する)
  4. 予め使用するダイアフラム(2つ穴 or 0.2mm slit;通称comet slit)を入れ、 その中心位置にIIカメラモニターの十字ポインタ十字線を合わせておく。 その後、ダイアフラムを大穴(1 hole)として天体導入に備える。
  5. BITRANの画面、スリットビュアーIIカメラ視野画面を見ながら、 ハンドセットで望遠鏡の向きを変え、HBSのダイアフラム位置に天体を導入する。
  6. Hハンドセットの"FOCUS"ボタンで、フォーカスを調整する。

II camera controller
HBS スリットビュアーII camera モニター(画面中心)、ポインター(モニターの 上の灰色のボックス)、コントローラー(みかんが乗っている緑色のボックス)。 コントローラーのスイッチを入れるときは必ずドーム内の 消灯を確認すること。使用時に明光を照射すると、IIカメラが損傷する。

★ オートガイド

  1. ePL制御ソフトの DIRECT CONTROL1 : ST-4 STAGE SET を選択し、目的天体、ガイド星それぞれの座標を入力 (COORDINATE)、もしくは、予め用意したガイド星 ファイルに登録した天体名を入力(FILE)し、 オートガイダーCCDステージの位置をガイド星を撮像できる位置に移動させる。
  2. オートガイダーCCDの制御PCで、ガイド用CCDカメラのゲイン、 積分時間を適当に選択し、目的天体がHBSスリット位置にいることを 確認したところで、オートガイドCCDでガイド星の画像を取得する。
    (
    資料4:オートガイダーパラメタ設定 参照)
  3. オートガイダーCCDの視野のうち、ガイド星が写っている部分、および スカイレベル測定領域を選択し、天体名、天体の赤緯、望遠鏡位置 (「W」とすること。「E」はフォーク式のOAO91cm鏡では無効)の 情報を適当に入力する。
  4. オートガイダーCCDが連続積分をはじめたら、望遠鏡制御ソフトで 「Autoguide」をonにし、オートガイドを開始する。

Autoguider PC
オートガイダーPC(オートガイドCCD連続撮影中)

★ 偏光分光観測

  1. 天体を試し撮りし、適当な積分時間を決定する。
    目安:画像のピークカウントが3-50000程度以下。空の状況によっては、 空の変動によるピークカウントの増減によるサチレーションに考慮し、 低めにおさえた方が良いことも。
    一天体の観測に要する時間の目安については、 (資料3)観測所用時間の目安 参照。
  2. 以下の形式で天体の偏光スペクトルを取得する。
    画像名は、obXXXXXX.fts (XXXXXXは通し番号)とする。
    SP、UP、GTの観測データはディレクトリXXXXXXcl、 各自の観測データは、ディレクトリXXXXXXa(or b etc.)に 保存すること。
  3. 1天体の観測が終了したら、HBSスリットビュアーIIカメラのゲインを 落し、電源を切る。

■ 観測中の注意点(HBS観測マニュアルver1.0との相違)

■ 観測終了処理

  1. ドーム内の照明を点灯する前に、HBS スリットビュアー IIカメラの電源を落す。
  2. 望遠鏡の微動(Sidereal Drive)を停止し、望遠鏡を天頂方向に向ける。
  3. 同架望遠鏡のカバーを閉め、視野確認用CCDカメラ BITRANを停止(ソフト停止、本体電源切)する。
  4. 主鏡カバーを閉める(2000/11現在手動)
  5. ドームシャッターを閉める。
  6. シャッター保温用ヒーターを使用していた場合、電源を切る。(説明書参照)
  7. 91cm望遠鏡制御架の電源(「MAIN POWER」)を切る。

■ 各日の観測終了後

  1. その日の全観測ファイルを、観測所保管用MOにコピーする。 MOの容量が足りないときは、規定に従い新しいMOを作製(フォーマット、ラ ベル書き)して使用する。
    (新たに観測所保管用MOを作成する場合、ボリュームラベルを HBS_OBXXX (XXXはMO通し番号)として 新しいMOをフォーマットする。)
    観測者が持ち帰るデータは、これとは別に各自の責任で保存する
  2. CCD 制御パソコン(hbs_ccd)、ePL制御パソコン(PC-9801RX)、 オートガイダー制御パソコン(PC-9801BA)のディスプレイのディスプレイの電源を切る。(ソフト、本体の電源はそのままにしておく)
  3. その日に行った較正観測(昼スカイ、標準星)の結果を、観測卓付近の 星取り表に記入する。

■ 退所時

■ ドーム・観測室の様子

観測室内のコンピューター類1
観測室右側の計算機

観測室内のコンピューター類2
観測室奥の計算機

BITRAN PC
視野確認用CCDカメラBITRAN制御用PC komagawa (計算機室中央の長机)

■ (資料1) トラブル時の連絡先

国立天文台・川端 弘治 まで(電話番号は観測室に表示)

■ (資料2) 較正観測の目安

観測者は、以下を目安に、標準星(無偏光標準星;UP、偏光標準星;SP、 グランテーラー星;GT)を観測してください。
観測後は、観測卓付近の星取り表に、その日の標準星観測天体名とセット数、 状況(◯:良、△:条件悪、×:使用できず)を記入してください。
また、退所までに較正観測分の解析用リストファイル(cryolist.dat、 object.lst; 形式については、
HBSデータ整約マニュアル参照)を 作製し、観測所保存用MOに観測データとともに保存してください。

■ (資料3) 観測所用時間の目安

偏光分光観測に要する時間の目安はおよそ以下の通り。
0〜67.5°の4方位を3セット毎にダークフレーム1枚を取得する場合。
あくまで大雑把な目安であり、装置の状況や観測者の熟練度によってさらに時間を要する 場合があるので注意すること。

積分時間(sec)3 sets 6 sets9 sets12 sets
1010203040
2012243648
3015304560
4017355270
6020406080
100306090120
20050100150200
観測所用時間の目安 (単位:分)

■ (資料4) オートガイダーパラメタ設定

ガイド星V magnitudegainexp time N SKYrange
611120-60
721120-60
923120-60
10.543120-60
オートガイダーパラメタの目安。状況により最適値は 変わり得る。N SKYは、ガイド星の積分時間が3-4秒以下の場合は 1としておくと、 オートガイダー画面のガイド星カウント変化の 表示の精度が上がり、空の安定性を確認するのに便利。
より長時間積分になると、オートガイドの時間間隔が延びてしまうので、 10-20程度とするのが良い。

■ (資料5) 各種覚書

HBS スリットビュアー IIカメラ視野約 2'.6 x 1'.6
視野確認用CCDカメラ BITRAN視野 8'.9 x 6'.7
ガイド星使用可能範囲17'3 x 17'3 (北側の一部を除く)

■ (資料6) 詳しい情報の所在

(★)印の資料は、堂平観測所での情報など古い内容が含まれているので注意して参照してください。
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H.Akitaya