線スペクトル偏光分光装置 CCD開発・製作報告

* 冷却温度-内部圧力関係 (2002.5版)

May. 8, 2002.

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* 概要

前回の報告『CCDチップ実温度の測定』の際の 冷却時、および冷却停止後のデュワー内容物温度変化、内部圧力変化についてまとめた。

* 結果とまとめ

冷却

コールドプレート部を〜160Kに冷却するのに約5時間要した。(図1)
冷却開始後、内部圧力は急減する。約10分で、吸着材ケース温度が250Kまで 低下し、この時点ですでに内部圧力は10-4 Torrまで 低下しており、気体熱伝導による熱流入は無視できる程度になっている。

冷凍器停止後

冷凍器停止後、内容物が常温(> 280K)に戻るまでに7時間以上要している。(図2)
内部圧力は、内容物が200K程度まで暖まる冷凍器停止後の約2時間、 約10-5 Torrの低圧で推移し、その後緩やかに上昇を始める。
気体熱伝導が効き始める10-3Torrに達するまでは、 冷凍器停止後約6時間要し、内容物温度は270Kまで上昇している。

図3に、内部圧力に大きな影響を与える吸着材ケース部分の温度と内部圧力の 相関を示す。赤が真空ポンプを駆動しながらの冷却時、青が冷凍器停止後 である。
冷凍器停止後の挙動を見ると、吸着材ケース温度260K以下では 真空ポンプが駆動していないにも関わらず、内部圧力は気体による熱伝導が ほとんど問題にならない10-4 Torr以下となっている。
即ち、冷却時は吸着材ケース温度がこの程度になったところで真空引きを 停止しても冷却に支障がないことになる。図1によると、吸着剤ケースを260Kに 冷却するには約10分を要しているため、冷却開始後のポンプ駆動必要時間は この程度でよい。
いっぽう、冷却を停止した場合も、吸着材ケースが同温度に上昇するまでは デュワー内部が十分低圧であるため、それまでに要する時間、図2によると約5時間は、 冷却を一旦停止しても、真空引きなしに再度の冷却開始が可能であるといえる。

なお上記時間の見積もりは、デュワー内部の汚れなどによるアウトガス量、 吸着剤の吸着気体飽和状態など、ここでは詳しく論じなかった要素によって 大きく変わり得ることは注意すべきである。

cooling t-p
図1: 真空引きを続けながらの冷却時のデュワー内容物の温度変化と 内部圧力変化。

warming t-p
図2: 冷凍器停止後のデュワー内容物の温度変化と 内部圧力変化。

temp-pressure
図3: 冷却時(真空引き中)、冷凍器停止後のデュワー内内容物の温度変化と 内部圧力変化。

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post 秋田谷 洋 (akitaya@astr.tohoku.ac.jp)