線スペクトル偏光分光装置 制御系開発報告
クロスディスパーザ回転機構の微動問題について
Feb. 3, 2004.
次の報告『制御系ソフトウェア slitcont の改修(ver. 2.0)』
概要
2003年7月のUH観測で得たデータが、観測日の違いによって、スペクトルアパー
チャの位置のずれを生じていることが判明、原因を探るための実験を行った。
調査
- 調査1
「落す/立ち上げる」を行ない、クロスDへの信号(電源ON/OFF、CCWパルス、CW
パルス)をオシロスコープでみる。
結果
常に電源は入った状態、CCW・CWパルスも出ていない。問題ない。
- 調査2
クロスD電源はslitcontと切り離して常にON状態で「落す/立ち上げる」を行な
い、画像がズレているか確かめる。
結果
ズレる場合とズレない場合がある。十回程度繰り返すと4-8pixはズレる。
結論
- slitcontを「落す/立ち上げる」際に画像がズレる可能性は高く、その影響
は無視できないレベルである。
- その原因については、クロスDへの信号が疑わしいが、今回の調査では特に
おかしなところはみられなかった。
対策
上記の結果を受けて、2月松田観測までに可能な対処としては観測期間中、常に
slitcontを「立ち上げた」状態に保つことと考えられる。
これまで、slitcontが落ちた原因というのは、観測用PC:plioceneと制御用
PC:centaurusとの通信不調(切断)である(現在は、plioceneからsshでcentaurus
に入り、slitcontを操作している)。
そこで、次回観測までに通信が切断されても問題ない仕様にしたい。
具体的には、slitcontを改修し、テキストファイル(制御命令を書き込む)を読み
込んで動くようにし、
- slitcontはcentaurus上で走らせる。
- plioceneからテキストファイルを書き換える。
- slitcontはテキストファイルが変更されたときだけ、そこに書かれた命令を
実行する。
このようにすれば、通信が途絶えてもメインソフトslitcontはcentaurusの上で
動き続けるので、落ちることはなくなる。
原因については未だに不明瞭で、明らかにするためには今後の調査が必要。
長期的には、器械的に根本的な解決を目指すことも必要か。
本間 賢一
(homma@astr.tohoku.ac.jp)