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3.1 概要

シグナル値$S_{\rm ADU}$と、 シグナル値分散 $\sigma _{\rm ADU}^2$から得られる量、 $k_{\rm nc}$ (式(23))は、式(26)によって、系の真のゲイン値 $k$と結び付けられる。

$k$のシグナル値依存性、( $\partial k/ \partial S_{\rm ADU}$)が十分小さい と仮定すると、$k_{\rm nc}$は真のゲイン値$k$と一致する(式 (27))。 そのため、系のゲイン値 $k(S_{\rm ADU})$、さらに式(14)より、 Linearity Residuals、 $LRs(S_{\rm ADU})$の分布を得て、 線形性特性について知ることができる。

ただし、$k_{\rm nc}$は、 $\partial k/ \partial S_{\rm ADU}$に非常に敏感なため、 しばしば真のゲイン値$k$とは一致せず、$k_{\rm nc}$から直接には$k$を求める ことができなくなることがあるので注意を要する。 この場合の$k$の導出には、境界条件を設定した上での数値積分等の手法が必要である。

なお $k_{\rm nc}$は、shtterless photon transfer (SLPT)法を用いることで、 シャッター等を含まない、LED光源とカメラのみの単純な設備で 測定することが可能である。この方法では、少数枚の0秒積分の画像にて、広く密な シグナル値範囲の$k_{\rm nc}$の値を得ることができるため、 非常に短時間で実験を完了することができる利点がある。


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Hiroshi AKITAYA 平成15年11月20日