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3.3.1 真のゲイン値 $k(S_{\rm ADU})$の数値解析

SLPT法による測定で得られた $k_{\rm nc}(S_{\rm ADU})$の分布を用いて、 式(30)を数値的に解き、 $k(S_{\rm ADU})$を得る。

簡単化のため、 $k_{\rm nc}(S_{\rm ADU})$の測定値に対して、 全シグナル値範囲を6つの区間に分けて一次関数で近似し、 $k_{\rm nc}(S_{\rm ADU})$を単純な関数形で記述した(図11)。 数値解析には4次のRunge-Kutta法を用いた。 また、境界条件 $S_{\rm ADU_0}$$k_0$は、以下のように決定した。

適当な$k_{\rm nc}$の測定値から$k_0$を得るには、 その時点では未知の、 $\epsilon (S_{\rm ADU})$の不定性を含む式 (26)を用いなければならないため、一般的には、$k_{\rm nc}$から一意に $k$を知ることはできない。
さて、 $\epsilon (S_{\rm ADU})$は、シグナル値が小さく、かつ、 $\partial k/ \partial S_{\rm ADU}$が小さいときに、小さくなる。 このとき、式(27)より、$k_{\rm nc}$からおよその$k$が得られる。 また、このときは、 $\partial k_{\rm nc}/\partial S_{\rm ADU} \sim 0$、 即ち、測定量$k_{\rm nc}$もシグナル値$S_{\rm ADU}$に対して平坦であると考えられる。 よって、比較的信頼できる境界条件を得るには、それほどシグナル値が大きくない 領域で、$k_{\rm nc}$が平坦と見做せる部分の $S_{\rm ADU}$$k_{\rm nc}$を、 それぞれ、$S_{\rm ADU_0}$$k_0$として選ぶのが良い。

このような方針に基づき、SLPT法での測定による$k_{\rm nc}$$S_{\rm ADU}$依存性が、 比較的平坦な領域として、 $S_{\rm ADU_0}=19000\;{\rm ADU}$を 選んだ。また、$k_0$$k_{\rm nc}$との相違が微少にあることも考慮して、 $S_{\rm ADU_0}$における$k_{\rm nc}$の値 0.4550 を中心に、 前後 約$\pm 1\%$の範囲にある、0.4500, 0.4525, 0.4550, 0.4575, 0.4600 の 計5つを$k_0$として選んだ。

以上の条件で、 $k(S_{\rm ADU})$の関数形を数値的に求めた。


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Hiroshi AKITAYA 平成15年11月20日