システムの真のゲイン値は、線形性を知るためのみならず、 単に、系の 電子数 - ADU値変換係数 としても重要なパラメータである。 しかし、「シグナル値分散-シグナル値関係」からとして導出を試みると、 常に式(26)に見られるように、 の不定性 が含まれることになる。 ここでの不定性はせいぜい a few %の程度と考えられ、 それを越えた高い精度でゲイン値を知る必要がある機会は必ずしも多いとは 言えない。
しかし、その不定性を排除して高い精度でゲイン値を知りたい場合には、
「分散-シグナル値関係」と「光量-シグナル値関係」をともに用いて、
数値積分法を組み合わせることで、実現できる可能性があることを以下で議論する。
例えば、我々の得たの分布から求めたについて考える。
は、境界条件の値によって、大きく変化した。
しかし、その内の一つ、0.460を与えた場合の結果は、シグナル値のほぼ全域に渡って
平坦での範囲に収まり、Xe光源照射画像をもとに2節で
得たとも矛盾しなかった。
ここで与えたは、
として得た 0.455より、約1% 大きい。
このとき、として正しい境界条件を与えたために、得られたも正しい結果が
得られたと判断して、によって、
の不定性を排除
した真のゲイン値が求まった、と考えることができる。
もし、我々が の関数形を誤差無く知ることができ、 かつ、「光量-シグナル値関係」により、線形性を示す関数 が 独立に得られている場合、以下のような方法によって、 真のゲイン値について、 の不定性を含んだ不定値、 としてではなく、より高い精度で決定することができるだろう。
この手法を実際に使用するには、「光量-シグナル値関係」によるや 「分散-シグナル値関係」によるについて、十分な精度、か つ十分細かいシグナル値分解能で知らなけらばならないだろう。 その必要な精度の程度とそのとき結果として得られるゲイン値、の精度の関 係などについては、さらに議論を深める必要がある。