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2.3 結果

20秒Xe画像から、$1\%$以内で照射量が均一と見倣せるピクセル群を選び出し (詳細は2.4.1節)、その領域で得た各積分時間におけるシグナル値 に対して、 積分時間オフセットの補正 (2.4.3節)、 照射量時間変化の補正 (2.4.1節)を適用し、 照射量 $(\propto t_{\rm E})$対シグナル値のデータ $S_{\rm ADU} (t_{\rm E})$を得た。

この $S_{\rm ADU} (t_{\rm E})$と、式(11)から、 シグナル値、および、電子数に対するLinearity Residuals $LRs$を得た(図1)。 シグナル値- 電子数の変換には、Linearityが充分良いと思われる20000 ADU付近 で、分散 - シグナル値関係から得られた ゲイン定数 $ k = 0.457 $ ADU/electrons を用いた。

図 1: 全シグナル値範囲($S_{\rm ADU} : $0 - $2^{16}$ ADU ($\sim $ 140,000 electrons)) におけるLinearity Residuals : $LRs$ %。照射量補正に起因する誤差(緑線)、およ び、bias差引に起因する誤差(青線)の範囲を併せて表示した。
\includegraphics[scale=1.00]{rep_lrs_fin.eps}

誤差として、測光誤差に起因する誤差(各点エラーバーで表示)に加えて、 照射量時間変化の補正(2.4.1節)に起因する誤差 (1000 ADU以下のシグナル値において$\pm 0.3\%$程度、1000 ADU以上で$\pm
0.2\%$程度)が加わる。

また、bias levelの差引に$1$ ADU程度の不定性があるため、100 ADU 以下の シグナル値では、 $100/S_{\rm ADU}$ per cent 程度の誤差が生じている可能性がある。

これらの誤差を考慮すると、線形性について、以下のことがいえる。、

100 ADU ($\sim 220$ electrons)以上
$\;$
$2^{16}$ ADU ($\sim 140,000$ electrons)までの測定範囲全体で、 $0 \pm (0.2-0.3)\%$と良好
100 ADU ($\sim 220$ electrons)以下
$\;$
カウントの減少とともに$LRs$が大きくなるが、この振舞は、bias levelの差引に起因する誤差でも説明できる範囲である。 よって、100 ADU以下の低カウント域の線形性については、 $100/S_{\rm ADU}$ per centの程度を越えて、はっきりしたことは言えな い。

今後、本実験よりも高い精度で線形性特性を調査するためには、 積分時間のオフセット値の厳密な測定、光源光の照射の時間安定(実験中にa few $\times $ 0.1 %以内に)、a few $\times $ 0.1 ADUの程度での bias levelの決 定等が必要である。


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Hiroshi AKITAYA 平成15年11月20日